企業を譲受ける
               メリットと注意点



「M&Aは時間を買う事である」とよく言われます。新規事業を実際に立ち上げようとすると、その準備の多さは想像を絶するものです。企画立案、マーケットリサーチ、社員教育、ノウハウの蓄積、事務所の開設、人材採用、広告等を全てクリアするためにはかなりの期間を必要とします。時代変化の激しい現代では新規事業を展開した時は既に時代遅れという事も考えられます。その点M&Aで企業譲受けにより新規事業に進出する場合は、極めて短時間に実現できます。

 さらに、M&Aによる事業展開は非常にリスクが少ないという事が言えます。自社で全く新しく事業を開始する場合、当然経営計画は立案しますが、計画通りの売上が上がる保証はありません。その点、M&Aなら既存の企業を譲受ける訳ですから、過去の損益状況は全て分かっています。したがって、自分達が引き継げば、売上や経費がどうなるかは新規開業と比べてはるかに正確に予測がつきます。




 しかし、良い事ばかりではありません。注意点としてはまず簿外負債の存在の可能性があげられます。簿外負債とは帳簿や決算書に計上されていない負債の事です。資金繰りの悪化のために金融業者から借り入れを行ったが、正規の金融業者でないために決算書に計上されていなかった借入金、予測されていない退職金、会社として行っている連帯保証や脱税等が含まれます。いずれにしろ会社として支払わなければならないものですので、それを知らずに会社を譲受けると大変な事になります。

 又、社員に対する注意点もあります。中小企業の社員にはオヤジ(創業社長)の人柄に惚れて付いて来たというタイプの人が多くいます。これらの社員の愛社心や創業者に対する思いを無視して企業を譲受け、自分流の経営を押し付けると有能な幹部社員が転職してしまったり、独立してしまうケースがあります。会社は結局、人で成っているものですから、有能な人材が流出するとノウハウや得意先もその人材に付いて流出してしまい「空箱」を買ってしまう結果となります。

 しかし、創業者と社員の心情や尊厳を十分に尊重して引き継ぎに当たると社員は創業者に恥をかかさない様、新しい経営者の下で一丸となって全力を注いで業務を遂行してくれます。ちょっとした気持ちの持ち方と注意で75点の企業が一夜にして45点にも95点にもなります。ここがM&Aの最大のツボと言えます。

 M&Aを行う場合の注意点に関しましては財務・税務・法務とチェックポイントが多岐にわたります。さらに人の心の問題やメインバンク・取引先等との関係の問題にまで及びます。

 したがって、M&Aの経験のない企業が自社でチェックする事はほとんど不可能です。又経験のある企業であっても第三者の視点から見てもらう事が重要です。M&Aに関するリスクを少しでも減らすために優良なM&A仲介業者にアドバイスを依頼する事をお薦めします