売買による自社株対策について


Q 親子間で以前より自社株の贈与を行っています。しかし株数が減らないので自社株の売買を検討しています。売買の際のポイントを教えてください。

A ご質問の自社株売買については、主として4つのポイントをおさえていただきたいです。

1. 自社株売買の場合、株は減少しますが財産の合計額は減少せず、後継者は買取資金が必要
2. 贈与ではもらった者に課税(極端な累進税率)されるのに対し、売買では売った者が課税(20%の分離課税)される
3. 売買手続書面の作成・保存
4. 売買価額の算定

以下、順番に解説させていだたきます。

1. 売買するのかどうかは、今後の株価の予測が必要
 贈与と異なり、売却は売買の対価として現金その他の財産が増えますので相続財産の合計額は同じです。ならば株式の売買効果はないのではないかといえば、売却時は財産価額は同じでも、自社株評価が今後上昇すると予測されるのであれば、早く売却しておいた方が有利であると考えられます。したがって、会社の中長期的な計画との関わりである程度の予測も可能ですし、株価の低い時期を見計らって売買すれば、その効果があり十分な対策になると考えられます。

2. 親には譲渡所得税・子には贈与税
親子間の売買ですので、子供の方の買取資金のことを考えて、また譲渡する親の方は譲渡所得税を安くしようして売買価額を低くするでしょう。しかし時価以下で売買する場合、所得税上は問題ないのですが、子供の方に経済的利益が生じますのでその経済的利益に対して贈与税が課税されることになります。
譲渡所得税={(売買価額−取得価額)×譲渡株数}×20%
贈与税  ={(相続税評価額−売買価額)×譲渡株数−110万円}×税率−控除額
売買価額の決定につきましては、必ず専門の税理士にご相談したうえでご決定ください。

3. 株式売買の具体的手続き
同族会社が株式を売買する場合には、売買を否認されないように注意が必要です。
(1) 有価証券売買契約書の作成
(2) 譲渡制限のある会社の場合には、売却する者は会社に対し「株式の譲渡承認申請書」を作成し申請する。
(3) (2)の申請がなされれば、会社は取締役会にて承認し「取締役会議事録」を作成します。
(4) 金銭の授受は通帳を通しておこなう。
(5) 売買契約書は公証人役場で確定日付をもらう。
(1)〜(5)の手続きを経て、契約書及び議事録その他の経緯を明瞭に保存しておくことです。なぜならば、相続対策のために株式を売却しているのですから、後々この売却が否認されることのないようにすべきです。

4.売買価額の算定・決定
(1)取引所の相場のない株式
取引所の相場のない株式については、相続税評価額を売買価額とすることが一般的です。税務上、自社株の評価方法には、次の4つの方法があります。
@ 類似業種上場会社の取引株価を基に算定される「類似業種比準価額方式」
A 評価会社の資産と負債の金額(相続税評価額)を基に算定される「純資産価額方式」
B @とAの併用方式
C 前2年間の配当率から算定される「配当還元方式」
一般に@〜Bを原則評価、Cを特例評価といい、特例評価は一族ではなく従業員等の非同族株主が自社株を取得する場合には適用されます。原則評価は特例評価より株価が高く、一般に原則評価の中では純資産価額の方が類似業種比準価額より株価が高くなります。
(2)原則的評価方式について
@ 類似業種比準価額方式
配当、利益及び純資産を要素として事業内容が類似する業種目に属する複数の上場会社の平均株価に比準して評価会社の株式の価額を求める方式です。
A 純資産価額方式
 評価会社が課税時期において所有する資産の価額(相続税評価額)から負債の額及評価差額に対する法人税等に相当する金額を控除した金額を発行済株式数で除して、評価会社の株式の価額を求める方式です。
B @とAの併用方式
(4)どのような方法を適用するかについては、会社は会社の規模(従業員数・総資産価額・取引金額)によって以下のような判定が行われます。
@ 大会社→上場会社の株価との均衡上→類似業種比準価額
A 中会社→大会社と小会社との中間にあり→(1)と(3)の併用方式
B 小会社→個人事業者との評価の均衡上→純資産価額方式
税務上の株価算定につきましては、必ず専門の税理士にご相談したうえでご決定ください。