課税価格の特例 重複適用について


Q.自社株が「特定同族会社株式等」に該当した場合の相続税の課税価格の計算の特例について教えてください。


A.
「小規模宅地等の評価減特例」と「特定事業用資産の課税価格の特例」は、一定の要件の下に重複適用が可能です。

【1】小規模宅地等の課税の特例
  個人事業者が所有する事業用や居住用の宅地を、配偶者や事業後継者が相続した場合、 一定の用件、規模で限度面積までの部分については、通常の評価額の20%ないし50 %に相当する金額とする事が出来る。

事業用地 特定事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等
国営事業用宅地等
400uまで80%減額
その他の事業用宅地等 200uまで50%減額
居住用地 特定居住用宅地等 240uまで80%減額
その他の居住用宅地等 200uまで50%減額

【U】特定事業用資産の課税価格の特例
 
被相続人が相続開始直前に有していた自社株のうち、相続開始の時における発行済株式等の総数の3分の2以下に相当する部分の価額のうち10億円を限度として、相続税の課税上、その課税価格が10%減額される。

【V】重複適用
  小規模宅地等として選択された宅地等の面積が400uに満たない場合には、満たない部分の割合を限度として、特定事業用資産の課税価格の特例についても適用できます。

【W】重複適用の事例 
 『相続財産』
     自社株     8億円 (発行済み株式の総額・相続税評価額 15億円)    
    特定事業宅地
  320u 1u当たりの評価額20万円  6,400万円

A]小規模宅地の評価減から選択した場合
 (1)小規模宅地の減額
     @限度面積要件の判定
         320u〈 限度面積 400u       320u全部適用  
     A・減額される金額
       6,400万円×80%=5,120万円

 (2)自社株評価減
     @15億円×2/3=10億円〈 10億円    10億円
     A自社株8億円のうち特例可能な価額
         ア・特例適用残面積      400u−320u=80u
          80u/400u ×10億円=2億円
     B2億円×10%=2,000万円

 (3)減額合計(1)+(2)=5,120万円+2,000万円=7,120万円

B]特定同族会社の評価減から選択した場合
  (1)自社株評価減
            8億円×10%=8,000万円

  (2)小規模宅地の減額可能額
     @小規模宅地の特例が適用可能な面積    
                   8億円
         400u×1 −       = 80u
                  10億円

      A80u×20万円×80%=1,280万円                                 
 (3)減額合計
(1)+(2)=8,000万円+1,280万円=9,280万円 

 C A]7,120万円 〈 [B]9,800万円
    この事例の場合、自社株の軽減特例を優先した方が有利になります。

  * どちらが有利かの判定に関しては税理士にご相談ください。