会社法で株式制度緩和〜中小の事業承継円滑に


Q.新会社法は、特に株式制度が大変に柔軟になったと聞いています。中小企業オーナーの事業承継策として何か活用の方法がありますか?



A.株式制度の規制緩和は2001年などの商法改正でも実施されましたが、今回の新会社法は「規制廃止」に近いと言えます。例えば議決権を制限する株式の発行量については、今の商法は発行済み株式の半分以下に抑えていますが、今後、中小企業などではこのハードルがなくなります。このため、親から子への事業承継にも利用しやすくなります。

100%支配権を持つ創業者オーナーが株式以外に財産がなく、3人の子A、B、Cを残して死亡するケースを想定しましょう。跡継ぎの子Aが全株を相続して経営権を引き継げば身内争いは起きにくいですが税負担は重くなります。一方、父が残した株をA、B、Cが三等分して相続すれば、経営権は分散、お家騒動の火種を残します。

紛争予防のためには、跡継ぎAは議決権と剰余金の配当をもらう権利などを定めた株式をもらい、残りの兄弟B、Cは配当をもらう権利はあるが議決権のない株式を手にする方法も考えられます。

ただ、経営権を握った跡継ぎAが取締役報酬を不当に引き上げたり、乱脈経営に走ったりすれば、兄弟B、Cの財産権が侵害される危険もあります。こうした場合も、懸念を解消する手はあります。例えば、跡継ぎAが取締役報酬の大幅引き上げに動くなど一定の事態が起きれば、議決権のなかったB、Cの株式に議決権が生じる仕組みにしておくのです。

子が経営に関心がなく、父親の右腕だった社員Dが社長を継いで事業経営に当たったほうがいいケースもあります。

後継社長Dには、経営へのインセンティブを与えるため、取締役の選任・解任権に関する種類株や報酬の引き下げに対する拒否権付き株式(黄金株)を渡す方法があります。子のAらには、取締役の選任・解任権はありませんが会社をチェックする会計参与の人事権などに関する議決権があり、配当などをもらえる株式を相続させればいいのです。

種類株などを使った事業承継の手法は「相続税」対策としても注目されています。ただ、度がすぎると税務当局に否認されるリスクもあります。この点に十分注意しながら、円滑な事業承継策にお悩みの方は専門家に相談してみてはどうでしょうか。